発信拒否 / NoDial

着信拒否と発信拒否の違いとは?やり方も完全ガイド

NoDial編集部 / 2026-07-08

「着信拒否」と「発信拒否」、似た言葉ですが指しているものはまったく逆です。「着信拒否 発信拒否 違い」と検索してこのページにたどり着いた方も多いかもしれません。この記事では、両者の違いを最初にはっきりさせたうえで、iPhone・Android・キャリア別の着信拒否のやり方、そして情報が少ない「発信拒否」の実際のやり方まで、2026年7月時点で確認できる範囲の情報を整理してお伝えします。

1. 結論:違いを30秒で

先に結論です。

着信拒否 他人 → あなた 発信拒否 あなた → 相手
着信拒否は「外から自分へ」、発信拒否は「自分から外へ」。同じ"拒否"でも、止める向きが正反対です。

主語が逆になっているのがポイントです。着信拒否は「相手を止める」機能で、スマホやキャリアに昔から標準搭載されています。一方の発信拒否は「自分を止める」機能で、そもそもOS標準機能としてはほとんど存在しません。かける・かけないを決めるのは自分自身であり、スマホの設計思想としては「本人がかけたい電話は原則かけられる」のが基本だからです。

そのため、「発信拒否」で検索してもピンとくる情報が少ないと感じた方は間違っていません。この記事の後半(5章・6章)で、着信拒否・発信拒否それぞれの実際のやり方まで具体的に解説します。

読みたい部分だけを先に確認したい方向けに、大まかな道しるべを示しておきます。「迷惑電話を今すぐブロックしたい」なら5章、「自分からかけてしまうのを止めたい」なら4章・6章・7章、「とにかく質問に答えてほしい」なら8章のFAQへ進んでください。

2. 【比較表】着信拒否 vs 発信拒否 一目で分かる

比較項目 着信拒否 発信拒否
何を止めるか 他人からかかってくる電話 自分からかける電話
目的 迷惑電話・詐欺電話・非通知などを受けたくない かけないと決めた番号に、自分からかけてしまわないようにしたい
主な入口 スマホ標準の電話アプリ/キャリアのオプションサービス 標準機能だけでは実質できない/専用アプリが必要
設定する主体 電話を受ける本人(相手をブロック) 電話をかける本人(自分の発信をブロック)
技術的な難易度 低い(標準機能・キャリアサービスで完結) 高い(OS標準では「特定の1件だけ」を狙ってブロックする手段がほぼない)
相手に知られるか ブロックしたことは基本的に相手にはわからない(着信できないだけ) 自分だけが対象なので「相手に知られる」という概念自体が薄い
解除のしやすさ 自分の設定なので、いつでも解除できる 意志の弱い瞬間に自分で解除できてしまうと意味がないため、あえて解除しにくい設計のアプリもある
向いている人 迷惑電話・営業電話・非通知・特殊詐欺対策をしたい人 かけないと決めた番号に、つい自分からかけてしまうのを止めたい人

表を見てわかる通り、着信拒否は「相手を締め出す」仕組みなので技術的にはシンプルです。対して発信拒否は「自分を止める」仕組みであるため、標準機能では想定されておらず、専用のアプリが必要になります。これがこの記事の後半のテーマです。

特に注目したいのは「解除のしやすさ」の行です。着信拒否は自分で設定したものなので、気が変わればいつでも自分の判断で解除できますし、それで何も問題は起きません。ところが発信拒否は、そもそも「気が変わった瞬間の自分」から自分を守るための仕組みです。もし発信拒否も着信拒否と同じくらい簡単に解除できてしまうなら、衝動が高まった場面で真っ先に解除されてしまい、仕組みとして機能しなくなってしまいます。この「あえて解除しにくくする」という発想の違いこそが、着信拒否と発信拒否の設計思想の違いを最もよく表していると言えるでしょう。

ポイント

着信拒否は「相手からの電話」を、発信拒否は「自分からの電話」を止めるもの。主語が逆なだけで、必要な機能もアプリもまったく別物です。

3. 着信拒否とは?どんな時に使う

着信拒否は、特定の電話番号(または非通知・公衆電話など)からの着信を拒否し、着信音が鳴らないようにする、あるいは相手に「おつなぎできません」といったガイダンスを流して接続させない機能です。

代表的に使われる場面は次のようなものです。

着信拒否の主体は「電話を受ける側」です。設定するのも解除するのも自分の意思ひとつでいつでもできますし、相手にブロックされたことが伝わることも基本的にありません(多くの場合、相手からは「話し中」や通常の呼び出し音のように見えるか、キャリア側のガイダンスが流れるだけです)。

着信拒否のニーズが年々大きくなっている背景には、迷惑電話そのものの深刻化があります。警察庁の発表によれば、2025年の特殊詐欺の認知件数は2万7832件(前年比32.3%増)、被害額は1423億1000万円(同98.0%増)で、いずれも過去最悪を更新しました。特に警察官をかたる「ニセ警察詐欺」が前年から倍増するなど、電話を入り口にした被害は増加傾向にあります。着信拒否は、こうした「知らない番号・不審な番号を家の中に入れない」ための、いわば玄関の鍵のような役割を担っています。

一方で、着信拒否には限界もあります。多くの着信拒否は「特定の番号」を狙って止める仕組みなので、相手が発信元の番号を変えて何度もかけ直してくるようなケース(いわゆる迷惑電話・詐欺電話の一部で見られる手口)には、1件ずつブロックしても追いつかないことがあります。こうしたケースでは、個別の番号登録だけに頼らず、Whoscallのような判定データベース型のアプリや、キャリア・警察庁が案内する相談窓口も合わせて活用するのが現実的です。この点は5章で詳しく扱います。

着信拒否は多くの人にとって「守り」の機能です。外からの迷惑を防ぐためのもので、スマホにもキャリアにも標準で用意されています。具体的なやり方は5章で詳しく解説します。

4. 発信拒否とは?どんな時に使う

発信拒否は、着信拒否とは逆に「自分からその番号にかける」ことそのものを止める仕組みです。相手からの着信を拒否するのではなく、自分がその番号に発信しようとしても、そもそも電話がつながらないようにします。

これは検索需要としてはまだ大きくありません。それもそのはずで、「電話をかけるかどうか」は本来100%自分の意思で決められることだからです。スマホもキャリアも「本人が電話をかけたいなら、かけられるようにする」ことを前提に設計されています。着信を制限する機能は昔からあっても、発信を制限する機能がほとんど用意されてこなかったのは、このためです。

ではなぜ「発信拒否」を必要とする人がいるのでしょうか。それは、「かけるかどうかを決めるのは自分」だからこそ、その場の気持ちや衝動に流されて、あとから後悔する発信をしてしまうことがあるからです。

このような「自分で決めたルールを、自分の意志だけでは守り切れない」というケースに対応するのが発信拒否です。着信拒否が「他人からの迷惑」を防ぐ機能だとすれば、発信拒否は「自分の衝動」から自分を守る機能だと言えます。

こうした悩みを抱える人自体は、おそらく以前から一定数いたはずです。ただ、それを解決する具体的な手段がなかったため、「そういうものだ」と諦めて自分の意志力だけに頼るしかなかった、という側面があります。着信拒否がキャリアやOSベンダーにとって「顧客を迷惑電話から守る」という分かりやすい事業目的と結びつきやすかったのに対し、発信拒否は「本人の行動そのものを制限する」機能であるぶん、需要が可視化されにくく、専用のサービスとして開発されるまでに時間がかかった分野だと考えられます。

実際に検索データを見ても、「着信拒否」が月間1万〜10万回検索される大きなボリュームであるのに対し、「発信拒否」というキーワード自体の検索数はまだ多くありません。これは「発信拒否」という言葉がまだ一般的でないだけで、悩みそのものが存在しないという意味ではありません。多くの人は、この悩みを「発信拒否」ではなく「つい電話してしまう」「衝動を止めたい」「連絡してしまう自分を変えたい」といった言葉で検索しています。言葉が定着していない分野だからこそ、まずは「発信拒否」という選択肢自体を知ってもらうことに意味があると考え、この記事を書いています。

この発信拒否の領域を扱うAndroidアプリが、この記事を運営するNoDialです。詳しい仕組みは6章で説明します。

5. 着信拒否のやり方(実用)

ここからは、実際に着信拒否を設定する方法を、iPhone・Android・主要3キャリア・迷惑電話対策サービスに分けて解説します。手順はOSやアプリのアップデートで変わることがあるため、2026年7月時点で確認できた情報として書いています。実際に設定する際は、最新の公式サポートページも合わせてご確認ください。

iPhone(iOS)の着信拒否

iPhoneの電話アプリには、特定の連絡先・電話番号からの着信・FaceTime・メッセージをまとめてブロックする「着信拒否した連絡先」という設定があります。大まかな流れは次の通りです。

  1. 「設定」アプリを開き、「電話」(または「FaceTime」「メッセージ」)を選ぶ
  2. 「着信拒否した連絡先」を開く
  3. 「+」から、連絡先を選ぶか電話番号を直接入力してブロックリストに追加する

通話履歴や連絡先の詳細画面から直接「この発信者を着信拒否」を選ぶ方法も用意されています。ただし、iOS 26では電話アプリの画面構成(クラシック表示など)が変更されており、機種や設定によって手順の見た目が変わる、あるいは履歴画面からの着信拒否がうまく動作しないという報告も見られます。うまく設定できない場合は、上記の「設定」アプリからの登録が確実です。正式な手順はApple公式サポートページで随時更新されるため、迷ったときはそちらを参照してください。

Android(標準の電話アプリ)の着信拒否

Android標準の電話アプリでも、特定の番号をブロックする機能が用意されています。

  1. 電話アプリを開き、通話履歴から着信拒否したい番号を長押しする
  2. メニューから「ブロック」(または「着信拒否」)を選ぶ
  3. 連絡先アプリからも、対象の連絡先を開いて同様にブロック設定ができる

非通知や不明な発信者からの着信をまとめてブロックしたい場合は、電話アプリの設定内にある「ブロック中の電話番号」から「不明な発信者」を有効にする方法もあります。Androidはメーカー(Google純正/各社カスタムUI)やバージョンによって画面の文言・位置が異なるため、詳細はGoogleの電話アプリのヘルプページや、お使いの端末のサポートページを確認するのが確実です。

キャリア別の着信拒否サービス(ドコモ・au・ソフトバンク)

端末の機能とは別に、各キャリアも回線側で迷惑電話をブロックするサービスを提供しています。端末を機種変更しても引き継がれる、着信履歴に残らないといった特徴があります。

NTTドコモ「迷惑電話ストップサービス」
繰り返しかかってくる迷惑電話やいたずら電話の番号を登録し、次回以降の着信を拒否できるサービスです。申込不要・月額使用料無料で、最大30件まで登録できます。設定は「144」への発信と、契約時に設定するネットワーク暗証番号(4桁)の入力、その後の音声ガイダンスに沿った操作で行う仕組みです。登録・削除・確認でメニューの分岐が細かいため、初めて設定する場合はドコモ公式の「操作・設定方法」ページを見ながら進めるのが確実です。あわせて、非通知の着信に番号通知を促す「番号通知お願いサービス」も申込不要・無料で用意されています。

au「迷惑電話撃退サービス」
迷惑電話を受けた直後に「1442」へ発信することで番号を登録できるサービスです(全件削除は「1449」)。登録した番号からの着信には、接続できない旨のガイダンスが流れ、着信させない仕組みです。登録は最大30件。料金は月額110円(税込)ですが、2026年4月15日〜9月30日の受付期間中は6カ月無料キャンペーンが実施されているとのことです(時期によって条件が変わる可能性があるため、申込前に公式ページでの確認をおすすめします)。My au、auショップ、電話からも申し込みができます。

ソフトバンク「ナンバーブロック」
迷惑電話を着信応答したあとに「144」へダイヤルし、ガイダンスに従って番号を登録すると、以降の着信を拒否できます(My SoftBankからも設定可能)。対応は音声通話のみで最大30件まで登録できます。従来は月額110円でしたが、特殊詐欺被害防止の取り組みとして2026年8月1日利用分から月額使用料が無料化されるとソフトバンクが発表しています(このあたりは実施タイミングの前後で情報が変わりやすいので、契約中の方は公式発表・My SoftBankでの表示を確認してください)。

いずれのサービスも「端末の着信拒否設定」とは別枠のネットワークサービスなので、機種変更後も設定が引き継がれる、着信履歴に残らないといったメリットがあります。逆に端末側の着信拒否は無料で即座に設定できる手軽さがあるので、「今すぐこの番号だけ止めたい」なら端末設定、「継続的に迷惑電話全般をブロックしたい」ならキャリアサービス、という使い分けが現実的です。

ここまでの内容を、料金の目安で整理すると次のようになります(2026年7月時点、税込・キャンペーン等は変動あり)。

サービス・機能 料金の目安 登録可能件数
iPhone標準の着信拒否 無料 端末の連絡先数に準ずる(実質無制限)
Android標準の着信拒否 無料 端末の連絡先数に準ずる(実質無制限)
ドコモ「迷惑電話ストップサービス」 無料(申込不要) 最大30件
au「迷惑電話撃退サービス」 月額110円(期間限定の無料キャンペーンあり) 最大30件
ソフトバンク「ナンバーブロック」 月額110円(2026年8月利用分から無料化予定) 最大30件
Whoscall プレミアム版 有料(無料版は番号検索の回数に制限あり) データベース次第

端末標準の着信拒否は無料で件数の実質的な上限もないため、まず試す価値があります。それでも防ぎきれない継続的な迷惑電話には、キャリアサービスや民間アプリを重ねて使うのが現実的な組み合わせです。

着信拒否した相手には、どう見えるのか

着信拒否を検討する際によく気になるのが「相手に気づかれないか」という点です。仕組み上、着信拒否の設定内容が相手に直接通知されることはありません。ただし、電話の「かかり方」自体は、設定方法によって変わります。

いずれの方法でも、相手のスマホ画面に「ブロックされました」といった明示的な表示が出るわけではありません。ただし、何度かけても同じような応答が続けば、相手が「ブロックされたかもしれない」と推測すること自体は起こり得ます。この点は着信拒否である以上、完全にゼロにはできない性質だと理解しておくとよいでしょう。

迷惑電話・特殊詐欺への一般的な対策

個別の番号をブロックするだけでなく、迷惑電話・特殊詐欺全般への備えとして知っておきたい選択肢もあります。

これらに加えて、民間の迷惑電話対策アプリも選択肢のひとつです。たとえば「Whoscall(フーズコール)」は、世界各国で登録された膨大な電話番号データベースをもとに、着信時に発信元の情報を表示したり、迷惑電話と判定された番号を自動でブロックしたりするアプリです。無料版は番号検索の回数に制限があり、迷惑電話の自動ブロックなどはプレミアム版(有料)の機能となっています。国内向けには「トビラフォン」のように、固定電話・ビジネスフォン向けの迷惑電話フィルタサービスを展開している事業者もあります。いずれもキャリアや端末標準の機能とは別に、独自のデータベースで判定精度を高めているのが特徴です。導入する場合は、料金体系(無料でどこまで使えるか)と、対応している端末・回線の種類を公式サイトで確認してから選ぶとよいでしょう。

このように「着信拒否」は、個人が1件ずつ設定する方法から、キャリアのサービス、公的な相談窓口、専用機器まで、選択肢が豊富に用意されています。これは冒頭で触れた通り、着信拒否が「他人からの迷惑を防ぐ」という、社会的にも古くからニーズのある機能だからです。

ポイント

「今すぐこの1件だけ」なら端末の無料設定、「迷惑電話全般を継続的に」ならキャリアのサービス。まずは無料の端末設定から試すのが、コストを抑えるコツです。

6. 発信拒否のやり方(実用)

ここからが本題です。「自分からその番号にかけるのを止める」ことは、実際にどこまでできるのでしょうか。

スマホの標準機能でできること・できないこと

まず整理しておきたいのは、iPhoneにもAndroidにも、「特定の1つの番号にだけ発信できなくする」という標準機能は用意されていない、という点です。着信拒否のように「この番号をブロックリストに追加する」感覚で発信を止めることはできません。

近い機能として存在するのが、iPhoneの「スクリーンタイム」にある通話・連絡先の制限です。これは「連絡先に登録された相手にしか発信できないようにする」「特定のグループにしか発信できないようにする」といった、許可リスト(ホワイトリスト)型の仕組みです。つまり「特定の1件だけを除外して、他は自由にかけられる」という、着信拒否と対称になる使い方はできません。かけたくない相手を1件だけ狙って止めたいだけなのに、それ以外の相手も含めて発信先を絞り込む必要が出てきてしまい、実用的とは言えません。

もう一つ、「誤発信防止」を目的にしたアプリも存在します。発信前に確認画面を挟み、相手の名前・番号を表示してから発信するかどうかを本人に選ばせる、というタイプのアプリです。これは「うっかり」を防ぐには有効ですが、本人が「かける」を選べば普通に発信できてしまいます。つまり、その場の衝動に負けて「かける」を押してしまえば、電話はつながります。

Android側にも、似た発想の機能として「Google ファミリー リンク」があります。これは保護者が子どものアカウントを管理するための仕組みで、子どもが発信・メッセージのやり取りをできる相手を、保護者が承認した連絡先だけに限定できます(緊急通報は制限の対象外で常にかけられます)。ただしこれも、iPhoneのスクリーンタイムと同じ許可リスト型で、しかも子どものアカウント向けの機能です。大人が自分自身のスマホで「特定の1件だけ」を狙って発信をブロックする、という用途には設計されていません。

ここまでの「自分の発信を止める方法」を、目的別に整理すると次のようになります。

方法「特定の1件だけ」を止める衝動的にかけてしまうのを防げるか
iPhoneのスクリーンタイム✕(許可リスト型のため不可)
Androidのファミリー リンク✕(子どものアカウント向け)
誤発信防止アプリ△(発信前に確認は挟める)✕(確認後にかけられる)
NoDial(発信拒否)◯(登録した番号への発信を遮断)◯(そもそもかけられない)

なぜ自分の発信は止めにくいのか

これは意地悪でも欠陥でもなく、設計思想の違いです。着信拒否は「相手」という自分以外の存在を制限する機能なので、一度設定すればあとは自動で機能します。一方、発信は「自分の意思決定」そのものなので、OSからすれば「本人が望んでいる操作」に見えてしまいます。本人の意思を尊重するのがOSの基本姿勢である以上、標準機能だけで「未来の自分がその気になっても、その電話だけは絶対にかけられない」という状態を作るのは、構造的に難しいのです。

つまり、発信拒否を実現するには、通話履歴の確認や許可リストのような「気をつける仕組み」ではなく、その番号への発信そのものを技術的に不可能にする専用の仕組みが必要になります。

この発想自体は、実はスマホの世界に限った話ではありません。行動経済学では、将来の自分が誘惑に負けそうな場面をあらかじめ想定して、その場で「できないようにしておく」対策を「プレコミットメント(事前拘束)」と呼びます。ギリシャ神話でオデュッセウスが、セイレーンの歌に誘われて船を進路から外してしまわないよう、自分の体を帆柱に縛り付けさせてから航海した逸話が、この考え方の古典的な例としてよく引き合いに出されます。財布に現金を入れておかない、ゲームアプリを削除する、スマホの利用時間そのものに上限をかけるアプリを使う、といった行動も同じ発想です。「その場の自分」の判断力を信用しすぎず、「今の冷静な自分」が先回りして選択肢を減らしておく。発信拒否も、この考え方を「電話をかける」という行為にそのまま当てはめたものだと理解すると、仕組みの狙いが分かりやすくなります。

ポイント

発信拒否は「気をつける」仕組みでは足りません。その番号への発信そのものを、技術的にできなくする必要があります。

アプリで止める:NoDialの場合

この領域を扱うAndroidアプリがNoDialです。事実ベースで仕組みを説明します。

裏を返せば、NoDialはブロックリストに追加した番号「以外」には一切影響しません。これはiPhoneのスクリーンタイムのような許可リスト型ではなく、着信拒否と同じ「拒否リスト型」の発想を、発信側に適用したものだと考えると分かりやすいはずです。現時点ではAndroid専用(Android 10以上)で提供されています。

7. 「発信拒否したい」のはどんな時か

ここまで仕組みの話をしてきましたが、そもそも「発信拒否をしたい」と感じるのは、どんな瞬間なのでしょうか。

多くの場合、それは「かけてはいけない」と頭では分かっているのに、その場の感情が理性を上回ってしまう瞬間です。

こうした経験に共通しているのは、「かけない」という判断自体は正しく持てているのに、実行の場面でその判断を裏切ってしまうという構造です。これは意志が弱いから起きることではありません。心理学や行動経済学の分野では、人の思考には大きく分けて2つのモードがあるとよく説明されます。ひとつは、直感的・反射的に動く速い思考。もうひとつは、時間をかけてじっくり検討する遅い思考です。冷静に「もうかけない」と決めるのは後者の働きですが、疲れている時間帯や感情が高ぶった瞬間には、前者の直感的な反応の方が優勢になりやすいとされています。ダイエット中に、頭では分かっているのに深夜のお菓子に手が伸びてしまう、というのと近い構造だと考えると分かりやすいかもしれません。

「もっと強い意志を持てばいい」という精神論だけでは、この構造的な弱さは解決しにくいものです。だからこそ有効なのが、判断そのものは冷静な今の自分に任せ、実行の場面では選択肢自体を物理的に無くしてしまうというアプローチです。冷静なときに「この番号にはもうかけない」と決めて登録しておけば、あとで気持ちが揺らぐ瞬間が来ても、電話をかけるという選択肢自体がそもそも存在しません。迷う余地も、意志力を消費する場面も生まれないのが、この方法の特徴です。

これは、かけないと決めた番号に対して「その場の自分を信用しすぎない」という前提に立つ仕組みとも言えます。少し逆説的ですが、「未来の自分が揺らぐかもしれない」ということをあらかじめ織り込んで、今の冷静な判断を守るための備えです。「かけない」と決めた背景は人それぞれで、他人からは分からない事情も多いはずです。だからこそ、その理由の中身を誰かに説明する必要はありません。必要なのは「もうかけない」という結論と、それを実行の場面まで運んでくれる仕組みだけです。

ポイント

判断は冷静な「今の自分」に任せ、実行の瞬間には選択肢ごと無くしておく。意志に頼らないのが、発信拒否の考え方です。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 着信拒否と発信拒否は、結局どちらが自分に必要なのですか?
A. かかってくる電話(迷惑電話・営業電話・非通知など)を止めたいなら着信拒否、自分からかけてしまう電話を止めたいなら発信拒否です。両方が必要な場合、それぞれ別々の機能・サービス・アプリで対応することになります。判断に迷う場合の目安は、「困っているのは相手からの電話か、自分の発信か」を自問することです。相手からの着信そのものが煩わしいなら着信拒否、自分がかけてしまう行動そのものを変えたいなら発信拒否、と考えると整理しやすくなります。
Q2. 着信拒否は相手にバレますか?
A. 多くの場合、相手には「ブロックされた」という直接の通知は届きません。キャリアのサービスでは、拒否設定した番号からの着信時に「おつなぎできません」といったガイダンスが流れる仕組みが一般的です。端末側の着信拒否では、着信音が鳴らず着信履歴にも残らない、または通常の呼び出し音のように見える場合など、機種やOSのバージョンによって挙動が異なります。なお、iPhoneで連絡先ごとブロックする場合は、電話だけでなくFaceTimeやメッセージ(SMS/iMessage)も同時にブロック対象になる点は覚えておくとよいでしょう。
Q3. 着信拒否を設定するのに料金はかかりますか?
A. iPhone・Androidの端末標準の着信拒否機能は無料です。キャリアのサービスは事業者によって異なり、ドコモの迷惑電話ストップサービスは申込不要・無料、au・ソフトバンクのサービスは2026年7月時点で月額110円程度(キャンペーンや無料化の動きあり)となっています。まずは無料の端末標準機能から試し、それでも迷惑電話が減らない場合にキャリアサービスや民間アプリの追加を検討する、という順番がコストを抑えやすいでしょう。最新の料金は各キャリアの公式ページでご確認ください。
Q4. スマホの標準機能だけで「自分の発信」を特定の1件だけ止めることはできますか?
A. できません。iPhoneのスクリーンタイムには通話の許可リスト機能がありますが、これは「登録した相手以外には発信できなくする」という仕組みで、逆に「特定の1件だけを除外する」使い方はできません。Androidの「ファミリー リンク」にも似た仕組みがありますが、これは保護者が子どものアカウントを管理するための機能で、大人が自分自身の発信を制限する用途には向いていません。特定の番号だけをピンポイントで止めたい場合は、その用途に特化したアプリが必要になります。
Q5. NoDialとはどんなアプリですか?
A. 登録した番号への発信を物理的に止めるAndroidアプリです。着信拒否とは逆に、「自分からその番号にかけること」を止める点が特徴です。1番号までのブロックは無料で、支払い情報の登録も不要なので、クレジットカード情報を入力せずに、まず1件だけ試してみることができます。2番号以上をブロックしたい場合のみ、月額のプレミアムプランが必要になります。
Q6. NoDialで登録した番号は、あとから自分で解除できますか?
A. アプリの中からは解除できません。解除にはアプリからの退会、またはアンインストールが必要です。これは、気持ちが揺らいだ瞬間に自分で簡単に解除できてしまうと、発信拒否としての意味が薄れてしまうためです。
Q7. 緊急通報(110番・119番など)もブロックされてしまいますか?
A. されません。緊急通報番号はAndroidの仕組み上そもそも発信ブロックの対象外となっており、NoDial側でも緊急通報番号を登録できないよう二重に保護しています。誤って登録してしまうリスクを避ける設計になっています。
Q8. NoDialはiPhoneでも使えますか?
A. 現時点ではAndroid専用(Android 10以上)です。iPhone版は提供されていません。

9. まとめ

ポイント

「かけないと決めた番号があるのに、その場になると自分の意志だけでは止められない」——それは着信拒否では解決できない種類の悩みです。発信拒否は、まさにその「わかっているのに止められない瞬間」のために作られた仕組みです。

NoDialは、止めたい番号を登録するだけで、その番号への発信を物理的にブロックするAndroidアプリです。1番号までは無料で、支払い情報の登録も必要ありません。「かけない」と決めた気持ちを、意志の力だけに任せず、仕組みの力で守りたいと感じたら、一度試してみてください。

NoDial(発信拒否アプリ)をGoogle Playで見る1番号まで無料・支払い情報の登録も不要

このブログでは今後も、「つい電話してしまう」「衝動を止めたい」といった、セルフコントロールにまつわるテーマを取り上げていく予定です。着信拒否・発信拒否という基本の違いを押さえたところで、ぜひ他の記事もあわせてご覧ください。

参考にした情報源

※キャリア・OSの手順や料金は変更されることがあります。実際の設定前に、各公式ページの最新情報をご確認ください。