認知症の親から電話がかかってきすぎるとき、できること(2026年版)
NoDial編集部 / 2026-10-13お母さんは、昼になる前に10回も電話をかけてきます。お父さんは電話を切った2分後にまた電話をかけてきて、同じことを聞きます。認知症やもの忘れのある親を介護しているなら、くり返しかかってくる電話は、一日の中でもっとも多く、もっとも疲れる場面のひとつです。この記事では、電話がくり返される理由、自分の電話を受けやすくするために自分の電話でできること、そして家族や緊急番号への発信は保ったまま余分な発信だけがつながらないように親のAndroidスマホに設定できることを解説します。
この記事は、介護するご家族向けに、スマホの設定について書いたものです。医療的な助言ではありません。電話に新たな混乱や強い不安、急な行動の変化が伴う場合は、親の主治医やケアチームに相談してください。
1. 結論を先に
認知症の親からくり返しかかってくる電話は、多くの場合、本人が決めてかけているわけではありません。認知症に関する団体は、このくり返しを、もの忘れ(電話をかけたこと自体を覚えていない)と、安心を求める気持ちの両方が原因だと説明しています。役に立つのは次の2つで、両方を組み合わせるといちばん効果があります。自分の電話では、電話を受け止めやすくする工夫をします(話す時間を決めておく、安心させる留守番電話、緊急時には通すサイレント設定など)。親の電話では、たとえば自分の番号への発信を1時間に2回までとするような番号ごとの発信回数制限を設定し、3回目の発信はつながらず、次にかけられる時間を電話自身が本人に伝えるようにします。親の電話にあるほかのすべての番号は、いつもどおり使えます。
電話を止めることを目指さないでください。1時間や1日あたり、自分が無理なく受け止められる回数を目指し、その線引きは自分ではなく、電話にそっと守ってもらいましょう。
2. 認知症の親が何度も電話をかけてしまう理由
Alzheimer's Associationは、認知症におけるくり返しの行動は「脳細胞の変性(the deterioration of brain cells)」によって起こると説明しています。本人は質問したことや用事を済ませたことを覚えていない場合があり、不安や心配を伝えようとしたり、助けを求めたり、「いらだち、不安、不安定さ(frustration, anxiety or insecurity)」に対処しようとして同じ行動をくり返すことがあります。英国のAlzheimer's Societyも、くり返す行動について同じ2つの点を挙げています。もの忘れと、事実としての答えよりも、安心や励ましを求める気持ちです。
これを電話にあてはめると、同時に2つのことが言えます。親は、20分前にかけた電話のことをよく覚えていません。そして、その電話はたいてい、聞きたい内容そのものよりも、聞き慣れた声を聞くことが目的です。両団体とも、パターンを探すこと(時間帯や特定の人物など)、行動そのものより気持ちに応じること、冷静でいることを勧めています。どちらのページも電話について具体的には触れていません。以下の手順は、この一般的な助言を電話の場面にあてはめた、当サイトによる応用です。
3. 自分の電話でできること:電話を受けやすくする
- 決めた時間に、先に自分からかける。毎日同じ時間にかける電話が予測できると、その間の「探す電話」が減ることが多いです。次にいつかけるかを伝え、親の電話のそばにメモを書いておきましょう。
- 安心させる留守番電話のあいさつを録音する。出られないときのために、自分は元気でいつもの時間にかけ直すと伝える、自分の声のあいさつを用意しておくと、電話の背景にある気持ちに答えられます。
- 親の電話だけは通す「おやすみ時間」を使う。Androidの「おやすみモード(Do Not Disturb)」は、選んだ相手からの電話だけ鳴らすように設定でき、「連続した着信を許可(Allow repeat callers)」をオンにすると、同じ人が15分以内に2回かけてきた場合はその電話を通しつつ、ほかはすべて静かにできます。これなら緊急時を無視することにはならず、普段の電話が届くタイミングだけを選べます。
- 電話を分担する。複数の家族がかけられる場合は、どの時間帯は誰が「担当」かを決めておき、その人の番号を親の電話でもっともかけやすい場所にしておきましょう。
ここまでの工夫は、親の電話には何も変更を加えません。それでも電話の回数が抱えきれないほど多い場合は、次の章で親の電話について説明します。
4. 親の電話でできること:発信を減らし、家族にはかけられるままにする
親の電話での目標は、電話を取り上げることではありません。本当に必要な番号にはいつでもかけられるようにしたまま、うっかりした発信やくり返しの発信を起こりにくくすることです。軽いものから強いものの順に見ていきます。
- 画面をシンプルにする。実際にかけている相手だけをお気に入りに残し、古い連絡先や重複した登録を削除します。間違った場所をタップする機会が減れば、うっかりかけ直してしまうことも減ります。
- 電話をかけられる番号自体を絞る。AndroidのFixed Dialing Numbers(FDN、発信番号制限)や一部の通信会社のサービスを使うと、発信できる番号を短いリストだけに限定できます。これはリスト以外への発信を止めますが、リストに載っている相手への発信回数自体は減りません。詳しくはAndroidのFDN(発信番号制限)をご覧ください。
- 番号ごとに発信の回数制限を設定する。NoDialのような発信回数の制限アプリを使うと、番号ごとに1時間・1日・1週間・1か月あたり何回まで発信できるかを選べます。たとえば、自分の番号を1時間に2回までに設定した場合、最初の2回はいつもどおりつながります。直近60分以内の3回目の発信はつながらず、次にかけられる時間を電話が表示します(「この番号には午後3時30分から、また発信できます」)。登録していない番号――ほかの家族や緊急番号を含むすべて――には影響しません。
- 番号ごとに設定 ✓
- 1時間・1日・1週間・1か月単位 ✓
- ほかの番号には影響なし ✓
- オフラインでも動作 ✓
番号ごとの回数制限は、ブロックよりもこの状況に合っています。電話そのものは歓迎すべきもので、問題なのは1時間に5回目の発信だからです。また、短いリストに絞る方法よりも合っています。親はどの番号にもかけられる自由を保ちながら、同じ番号へのくり返しの発信だけがペース調整されるからです。
5. 親の電話に発信の回数制限を設定する
この設定は、親のAndroidスマホで行います。できれば親と一緒に設定しましょう。「1時間に2回まで。6時には私からかけ直すね」のように本人が同意した上限は、次にかけられる時間が電話に表示されることで、受け入れやすくなります。
- 親の電話にGoogle PlayからNoDialをインストールし、起動します。
- 発信の処理をNoDialに許可します。Androidがどのアプリに発信を処理させるかを尋ねるので、NoDialを選びます。これは、つながる前に発信を止めるために必要な権限です。
- よくかける番号(たとえば自分の番号)を追加し、「回数を制限」を選びます。
- 回数と期間を設定します。たとえば「2回」を「1時間」あたりに設定します。1時間の制限は直近60分の発信を数え、1日・1週間・1か月の制限はそれぞれ深夜0時・月曜日・月初にリセットされます。
- 保存します。これ以降、上限内の発信はつながります。上限を使い切ると、ホーム画面のその番号のカード、通知、ブロック時の画面のすべてに、次にかけられる時間が表示されます。
くり返し電話がかかってくる番号がほかにもある場合は、それぞれに同じ手順で、それぞれの上限を設定してください。判断は電話自体の中で行われるため、インターネットに接続していないときや再起動した後でも、この制限は働き続けます。
6. 発信の回数制限でできないこと
- 自分の電話から管理することはできません。設定は親の電話の中にあります。親がブロックをオフにした場合、反映は1時間後になり、その間は電話に通知が表示されますが、PINによる保護や、遠隔からの管理はまだありません。
- 緊急番号はブロックされません。緊急番号はそもそも登録できず、そうした発信は常につながります。
- 動作するのはAndroidのみです。iPhoneの場合、もっとも近い選択肢は通信会社の発信規制や、シンプル化された電話です。
- 対象は1台の電話だけです。固定電話やほかの端末からの発信には影響しません。
7. 緊急通報や警察に何度もかけてしまうとき
緊急番号へのくり返しの発信は別の問題であり、発信の回数制限で対応すべきものではありません。緊急番号は、意図的に一切ブロックされないようになっています。何が電話の原因になっているかについては親の主治医やケアチームに相談し、認知症のある人からのくり返しの発信にどう対応しているかを、地域の警察の相談窓口(緊急番号以外の連絡先)に聞いてみてください。多くの場合、事情を記録してもらう方法があります。聞き慣れた声にいつでも連絡できるようにしておくこと(3章・4章)も、緊急番号への発信を減らすことにつながります。
8. よくある質問(FAQ)
- 親の電話に制限を設定してもいいのでしょうか?
- 可能であれば、まず本人と話し合い、一緒に回数を決めましょう。制限は電話を取り上げることよりも軽い対応です。本人は電話を持ち続けられ、ほかのすべての番号は使え、次にかけられる時間を電話自体が教えてくれます。
- 上限を超えた発信をすると、親の画面には何が表示されますか?
- 発信はつながる前に終了し、画面と通知に、この番号には何時から再度かけられるかが表示されます。アプリ内のその番号のカードにも同じ時間が表示されます。
- 家族それぞれに違う上限を設定できますか?
- できます。登録した番号はそれぞれ独自の回数と期間を持てるため、自分の番号を1時間に2回、兄弟姉妹の番号を1日に3回のように設定できます。
- 親が制限をオフにしてしまったらどうなりますか?
- ブロックの解除は1時間後に反映され、その1時間のあいだは通知が表示されます。PINによる保護や遠隔からの管理はまだないため、これは完全な鍵ではなく、一時的な「間(ま)」にすぎません。
- iPhoneでも使えますか?
- いいえ。NoDialはAndroid用のアプリです。iPhoneの場合は、通信会社の発信規制や、もの忘れのある人向けに作られたシンプルな電話を検討してください。
9. まとめ
その電話は、たいてい情報よりも安心を求めるものです。自分の電話では受け止めやすくする工夫をし、親の電話では番号ごとの制限でペースを整えましょう。そうすれば、「今はだめ、でも3時30分なら」と伝えるのは、あなたではなく電話の役目になります。
- 認知症におけるくり返しは、もの忘れと安心を求める気持ちから起こる。パターンを探し、気持ちに応じる。
- 自分の電話では:決めた時間の電話、安心させるあいさつ、親だけは通すおやすみ設定。
- 親の電話では:近道を減らし、番号ごとの発信回数制限(1時間・1日・1週間・1か月単位)を設定する。
- 緊急番号は一切ブロックされない。遠隔からの管理やPINによる保護はまだない。
NoCall|着信拒否・迷惑電話ブロック指定した番号からの着信を、鳴る前に拒否します。
出典
- Alzheimer's Association, "Repetition"(くり返しの原因。理由を探す、気持ちに注目する、冷静でいる、記憶の補助を使う) alz.org
- Alzheimer's Society, "Repetitive behaviour and dementia"(もの忘れと安心を求める気持ち。きっかけを見つける、冷静な口調を保つ) alzheimers.org.uk
- Android Help, "Limit interruptions with Modes & Do Not Disturb on Android"(連絡先の設定。「Allow repeat callers」は同じ人が15分以内に2回かけた場合に通す機能) support.google.com
- Android Developers, "CallRedirectionService"(アプリが発信をキャンセルする仕組み。緊急通報はリダイレクトされない) developer.android.com